アリとキリギリス - 靴ひも

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夏の間、アリはせっせと働いていた。食料が乏しくなる冬に備えてだ。
キリギリスはアリたちの姿を笑う。彼にとっては今が全てであり、享楽的な生活をしている。
冬が来ると立場は逆転する。翻って、地道に勤勉に働くことの美徳を説いているのだろう。

しかし、この寓話は3.11以後の現代にそのまま当てはまるのだろうか。
3.11は、アリのように慎ましく、勤勉に暮らしていた人間でさえ、場合によってはキリギリスのようになってしまうということを露呈させた。誰が悪いわけでもない。ただ、それは起こったのだ。震災、津波、原発事故は真面目に生きてきた人々からさえもあらゆる機会を奪った。

そもそもアリが安全に冬を越せたことも、見方を変えれば「ただ運が良かっただけ」なのである。いつ人間に巣を破壊されるか分からないし、天災が襲うかわからない。

アリの生き方には賛同する。それは生きる上で最低限必要なことだろう。
しかし、先の見えない社会では、こうした価値観ですら揺らぎ、揺蕩う。
アリが正しいのか、それともキリギリスが正しいのか。

この寓話が突きつけている問題は、想像以上に重い。

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