バットマンの死とブルースの生還 -『ダークナイト・ライジング』クリストファー・ノーラン 監督 - 靴ひも

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バットマンの死とブルースの生還 -『ダークナイト・ライジング』クリストファー・ノーラン 監督 このエントリーのはてなブックマーク数

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あるアメリカ人脚本家は、物語の構造には2通りしかないと話す。
それは、「穴に落ちた人間が穴の中で死ぬ」物語と、「穴に落ちた人間が穴から出る」物語だ。世界中には様々な物語があれど、必ずこの基本構造から成り立つとする仮説だという。

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「ビギンズ」で文字通り“穴に落ちた”ブルース・ウェインは、街を守護する正義の番人バットマンとなることで“穴から出た”。しかし彼は「ダークナイト」で、ジョーカーという規格外の悪と対峙し、また“穴に落とされる”ことになる。よって、“再び穴に落ちた”バットマンが、“穴から出る物語”が、この「ダークナイト・ライジング」なのだろう。

「Why do we fall?」(人はなぜ落ちる?)
「We can learn to pick ourselves up.」(這い上がるためだ)

バットマン・ビギンズ / トーマス・ウェイン


しかし、穴から這い上がるには、その前提として「自分が穴に落ちている」という自覚がなければならない。では、バットマン、特に「ライジング」における「穴」とは何に当たるのか。

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それは「バットマンであること」そのものだろう。
ブルースは気付かない振りをしながらも、心の奥底では苦悩していた。
自分がバットマンでなければレイチェルは死ななかったかもしれないし、ジョーカーやトゥーフェイスという怪人は生まれなかったかもしれない。そして、ブルース以外で唯一そのことに気付いていたのがアルフレッドだったのだ。彼は変態コスプレ癖のある主人に対して断固マジレスする。

「The city needs Bruce Wayne, your resources, your knowledge. It doesn't need your body or life. 」(ゴッサムが必要としているのは、あなたの知恵と財力だ。あなたの人生ではない)

ダークナイト・ライジング / アルフレッド・ペニーワース


「ダークナイト・ライジング」で、ブルースは「穴」から這い出す(注1)。
逆に云えば、バットマンは「穴」の中で死んだのだ(注2)。この映画が描いたものは「ヒーローの引退劇」であり、「新たなヒーローの誕生劇」。そして「ダークナイト」で描かれた光景と真逆の光景を観客に投げかける。ヒーローは自らの幸せを得たのだ。

「ダークナイト」のこの上もなく痛切なラストも素晴らしいが、「ダークナイト・ライジング」の幸福感と高揚感に溢れるラストはさらに素晴らしい。互いに微笑むブルースとアルフレッドの姿には涙した。


(注1)
劇中出てくる「奈落」では「かつて奈落から出た男がいた」という台詞が用いられるが、あれはベインであると同時にブルースそのものなのだろう。こうした脚本が非常に巧い。
(注2)
「新たなヒーローの誕生」に立ち会ったからこそ、バットマンは死を選んだ。


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