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怖い絵怖い絵
(2007/07/18)
中野 京子

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凄惨・残酷・非情・無惨で……甘美。心の底からゾッとする、名画の見方、教えます――
読み終わった後、もう一度絵を観てください。ドガ描くプリマ・バレリーナが、ホガース描く幸せな家族の肖像画が、ブロンツィーノ描く『愛の寓意』が、一変します――名画にひそむ、心胆寒からしめる恐怖の物語。本書を読めば、絵画の見方が変わります。

“芸術には疎い人間、だけど 『ダ・ヴィンチ・コード』 には興味ある” という人にはオススメの 1 冊。

歴史に残る名画は数々ありますが、この本は 「怖い絵」 20 作品を集め、著者の解説を加えたもの。一見何気ない家族の日常、バレリーナの躍動を切り出した一瞬、佇む街の絵、しかしながら、そのどれもに比喩や暗喩、寓意や象徴、風景にさえ隠されたメッセージが確実に存在する作品があります。

人の心胆をまことに寒からしめるのは、怖がらせを意識した絵より、画面には描かれていないのに、あるいはちゃんと画面にあって見ているというのに、見る側が少しも気付いていない絵の方ではないか。


マクベス婦人の台詞、 「絵に描いた悪魔を怖がるのは子どもの眼です」 や著者が書くように、頭から 「怖がらせよう」 と意図して描いている、またそれが見た瞬間分かる作品は非常に “親切な” 絵です。しかし、恐怖とは全く無縁だと思っていた作品に思いもよらぬ恐怖が埋め込まれていたことを知ると、驚き、恐怖、とともに知的好奇心を揺さぶられます。

恐怖の源はそこだ。人間が、何かとてつもないもの、何かもの凄いものへと化けるのではないか、いや、もう化けつつあるのではないかという、胸の悪くなるような予感・・・。


ただ、恐怖を何に見出すか、というと非常に曖昧になってきます。確かに一見しただけで 「はい、アウトー!」 という作品もあります (例えばこんなもの、閲覧注意。もっと怖いものも収録)。この本の場合、当時の社会状況やモラルと現代社会の差をどう捉えるかという問題を常に内包する。16 世紀ヨーロッパでの常識は現代の非常識、ではそれは恐怖なのだろうか、解説で妙に腑に落ちる作品もあり、読み手によりけりな部分はあります。

****

1 点 この本で非常に残念なのは、印刷方法です。これは多くの方が指摘していますが、「本自体が小さい + 見開きに印刷がまたがり、見開き部分が見えない = 肝心の絵がよく分からない」 というこの手の著作では致命的な欠点があります。しかし著者の考察は非常に面白く、読み手を惹きつけます。絵画や画家、当時の社会状況に関する知識も補完されているので、現代人にも無理なく入ってきます。

よく 「芸術はあるがままを感じなさい」 と言いますが、こういった 「怖い絵」 に触れると、それは正しくもあり、間違いでもあるように思います。作品を見て何を感じるか、何を持って帰るかは、知識や文化や職能に大きく依存するからです。解説を読んだ上で、もう一度絵を眺めてください。最初見たときとは全く違った光景が広がっていることは保障します・・・ふふふ。本屋さん、図書館で見かけたら是非手にとってみてください。

閑話休題

米澤穂信さんの 『儚い羊たちの祝宴』 という本の 「儚い羊たちの晩餐」 という節に、本書でも紹介されている 『メデュース号の筏』 という作品が登場しました。当時はそういう作品があるのか、程度の認識でしたが、なるほど、この作品を引き合いに出したのはそういう伏線があったんですね。

■ 関連エントリー
【ネタバレ】 『儚い羊たちの祝宴』 米沢穂信・著


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