【書評】 『ゆうちょ銀行 民営郵政の罪と罰』

2009.09.27 [ Edit ]

ゆうちょ銀行ゆうちょ銀行
(2007/09/07)
有田 哲文/畑中 徹

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郵政民営化の効果、またはそれに対する反論に焦点を当てた本は多いだろうけど、それまでの経緯を書いた本はあまりないかもしれない。この本では、民営化について当時の経済状況などに照らし合わせてその経緯も含め、郵政民営化とは一体なんだったのか、について書いている。ちなみにタイトルに 『ゆうちょ銀行』 と銘打っているが、別段郵貯に重点を置くという意味ではない。事実を淡々と書いているだけでなく当時の当事者の声も書かれていて、最後の 「付章 さまざまなリスク」 についてはある程度の知識は求められるものの、全体として非常に読みやすいと思う。

ただ一番の難点は著者の立場を明かしていないところ。一通り読んでおそらく民営化反対派なのだろうが、その書き方は必ずしも明確ではない。

郵便貯金は足元がふらつく巨象だ。金融市場という船に乗り込んで、万が一倒れれば、船そのものが沈んでしまう。 (P.71)

ではどうするのか。この 「どうするのか」 の踏み込んだ議論がほとんどない。そこまでの論証は非常にまとまっているのに、最後はほとんどが 「読者が考えてね」 状態ではなんとも言えない。そういう意味で、事実関係や問題点の発見に限定すれば力になる本だと感じた。読後、なんとなく視野が広くなった気がする。なかなかオススメ。

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