【ネタバレ】 『RYU』 柴田哲孝・著

2009.05.15 [ Edit ]

RYU (徳間文庫)RYU (徳間文庫)
(2009/04/03)
柴田 哲孝

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あらすじ (Amazon.co.jp)
沖縄北部の安佐次川で発見された、無人のボート。行方不明の米兵が残した、一枚の不可思議な写真。次々と姿を消す、猫や家畜。その裏で駐留する米軍が不穏な動きを見せる。いったい南国の平和な僻村で、何が起きているのか。

あー、ダメだ。めっちゃ面白い。ルポライター・有賀雄二郎と相棒・ジャック (犬) シリーズの第二弾。内容から考えて、「有賀雄二郎と未確認生物シリーズ」 と銘打ったほうがいいかもしれない (笑)。前作 『KAPPA』 からさらにパワーアップしてます。

沖縄を舞台に不可解な事件が多発する。行方不明の駐留米兵。次々と姿を消す家畜。米軍の謎の行動。そして有賀雄二郎のもとに送りつけられた写真に写っていた謎の巨大生物、「竜」・・・。その正体を突き止めるため有賀雄二郎とジャック、そして色々な人物が交差する。

前作もそうだったが、今作も非常に親切な構成になっている気がした。というのは物語の要所要所で主人公が何のために行動しているのか、今出ている謎を整理してくれるからだ。物語は主に有賀パートと米兵のフランクパートが入り組んでいるので、忘れっぽい (ボクみたいな) 読者が、「今何してるんだっけ?」 となるのを防いでくれる。

米軍が DNA を操作して恐竜を生き返らせ、それが暴れまわる。有り得そうな話しだが、フランクの言う通り、それでは安物の SF 小説だ。

この手の小説は確かに上の引用の通りになりやすい。もしくは正体が分かった途端、急に興ざめしてしまうことも珍しくはないだろう。しかし恐らく 『RYU』 ではそんなことは起こらない。それまで張り巡らせていた伏線が、最後まで読ませるだけの輝きを失わせないからだ。

やっぱり今回も有賀のハードボイルドは健在。これは著者の書き方が上手いのかもしれない。ジャックダニエルなど、小道具を実物のモノにすることによって、読者はクスッと笑えたり、妙に親近感が沸いてきたり、この辺の言葉選びが上手い。

****

『KAPPA』 ではそうでなかったのに、『RYU』 では冒険小説として読むことが出来ました。巨大生物を探すという純粋な興味、彼らが楽しむ釣りの姿、そして愛犬ジャックの活躍など、飽きさせない工夫が随所にちりばめられていて、オススメの一冊。正直、ジャンルは違えど、今年本屋大賞一位を獲得した作品よりは面白かった。

あとこの著者は社会情勢ありきで本を書いているかもしれない。前作 『KAPPA』 でいえば、外来魚に脅かされる在来魚の問題。今作 『RYU』 では沖縄の駐留米軍問題。この手の作品は海堂尊さんのように、説教くさくなって、ボクなんかは吐き気を覚えてしまうけれど、そこまで深くは書かれていない。

単体で読んでも十分楽しめるけど、有賀雄二郎 (とジャック) の人生に興味があるなら順番に読むことをオススメします。『KAPPA』 よりは断然 『RYU』 が面白い!

まぁ、沖縄で 「竜」 ってことは・・・と大体想像できるけど (笑)。

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