【ネタバレ】 『さよなら妖精』 米沢穂信・著
2009.04.25 [ Edit ]
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あらすじ (Amazon.co.jp)
遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。
久しぶりにゆっくりと読書できる時間が出来たので読了。電車の中で読むのもいいけど、やっぱり自分はゆっくりと時間を作って本は読みたい。今回読んだのは米澤穂信さんの 『さよなら妖精』 。今まで 「ちょっぴり甘酸っぱい青春系」 を書いていた同じ著者とは思えないタッチだった。具体的に書くなら、重い。
主人公の守屋のもとにユーゴスラビアからやってきた少女、マーヤ。本作は主人公たちとマーヤとの交流を描く、といえば大雑把過ぎるかもしれないが、マーヤと祖国の問題は物語に大きく関わってくる。というのも彼らの時代背景は 90 年代初期。この頃というのがユーゴスラビア紛争が勃発していた時代だからだ。
守屋たち、言い換えれば日本人にとって何の取り留めのないことにも目を輝かせ 「それに哲学的理由がありますか?」 と質問してくるマーヤ。その姿はどこか 「古典部シリーズ」 の千反田えるに似ているかもしれない。日常の謎を追っていき、ラスト・・・というのは著者とってもはやお得意の分野だ。
ただ今回はその 「日常の謎」 パートが些か弱い。説得力に欠けるというかなんというか。しかしそれ以上に主人公の葛藤、悩みがよく書けていた。「日常」 と一言でいっても幅が広い。つまり日本人の考える 「日常」 とユーゴスラビア人が連想する 「日常」 には大きな隔たりがあるということ。ぬるい日常に埋没することの許されないマーヤの生き方は、おそらくボクたち日本人には到底想像することは出来ない。出来てもあくまでも上澄みを見ているにすぎない。
読み終わって、「こういう青春もありじゃないか」 と思った。確かに超人的な名探偵ぶりを誇るホータローの武勇に舌鼓を打つのも面白い。でもそうじゃないだろうって。現実はもっと非情なもので、何かやりたいけど、でも出来ない人の割合のほうが多いに決まっている。守屋の最後の謎解き、そして胸を締め付けられそうになるラストには、なんかそんなことを感じた。
****
この作品は読み方によっては恋愛小説とも読めるんだろうな。ボクはそうは読めなかったけど。ラストの衝撃と喪失感はこれ以上ないほどの現実なのに、マーヤという存在が全体をファンタジックにしてくれている。今まで読んだ著者の作品の中で最高傑作だと感じた。でもあまりオススメはできない・・・。
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主人公の守屋のもとにユーゴスラビアからやってきた少女、マーヤ。本作は主人公たちとマーヤとの交流を描く、といえば大雑把過ぎるかもしれないが、マーヤと祖国の問題は物語に大きく関わってくる。というのも彼らの時代背景は 90 年代初期。この頃というのがユーゴスラビア紛争が勃発していた時代だからだ。
守屋たち、言い換えれば日本人にとって何の取り留めのないことにも目を輝かせ 「それに哲学的理由がありますか?」 と質問してくるマーヤ。その姿はどこか 「古典部シリーズ」 の千反田えるに似ているかもしれない。日常の謎を追っていき、ラスト・・・というのは著者とってもはやお得意の分野だ。
ただ今回はその 「日常の謎」 パートが些か弱い。説得力に欠けるというかなんというか。しかしそれ以上に主人公の葛藤、悩みがよく書けていた。「日常」 と一言でいっても幅が広い。つまり日本人の考える 「日常」 とユーゴスラビア人が連想する 「日常」 には大きな隔たりがあるということ。ぬるい日常に埋没することの許されないマーヤの生き方は、おそらくボクたち日本人には到底想像することは出来ない。出来てもあくまでも上澄みを見ているにすぎない。
読み終わって、「こういう青春もありじゃないか」 と思った。確かに超人的な名探偵ぶりを誇るホータローの武勇に舌鼓を打つのも面白い。でもそうじゃないだろうって。現実はもっと非情なもので、何かやりたいけど、でも出来ない人の割合のほうが多いに決まっている。守屋の最後の謎解き、そして胸を締め付けられそうになるラストには、なんかそんなことを感じた。
この作品は読み方によっては恋愛小説とも読めるんだろうな。ボクはそうは読めなかったけど。ラストの衝撃と喪失感はこれ以上ないほどの現実なのに、マーヤという存在が全体をファンタジックにしてくれている。今まで読んだ著者の作品の中で最高傑作だと感じた。でもあまりオススメはできない・・・。
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