【ネタバレ】 『法月倫太郎の冒険』 法月倫太郎・著
2009.04.12 [ Edit ]
![]() | 法月綸太郎の冒険 (講談社文庫) (1995/11) 法月 綸太郎 商品詳細を見る |
あらすじ (Amazon.co.jp)
名探偵・法月綸太郎に挑戦するかのように起こる数々の難事件。なぜ死刑執行当日に死刑囚は殺されたのか、図書館の蔵書の冒頭を切り裂く犯人、男が恋人の肉を食べた理由など異様な謎に立ち向かい綸太郎の推理が冴えわたる。「ルーツ・オブ・法月綸太郎」ともいえるミステリの醍醐味あふれる第一短編集。
「〜の冒険」 と書かれてまず思いつくのは 「シャーロック・ホームズの冒険」 ではないでしょうか。この 「法月綸太郎の冒険」 は純ミステリーとでも呼ばれる正統派ミステリー作品を 7 作収録した短編小説。それぞれ 「死刑囚パズル」、「黒衣の家」、「カニバリズム小論」、「切り裂き魔」、「緑の扉は危険」、「土曜日の本」、「過ぎにし薔薇は……」の 7 編の謎に名探偵・法月綸太郎氏が挑むというもの。
「切り裂き魔」 〜 「過ぎにし薔薇は……」 の 4 編は 「図書館シリーズ」 と呼ばれるもので、倫太郎が(好意をよせる) 司書の沢田穂波の働く図書館を舞台にミステリーを展開する形式を取っている。冒頭の 「死刑囚パズル」 なんかはテーマ自体が重いものであり、且つ法月氏の死刑に対する文献研究や論述には唸ってしまった。
文中で何度もエラリー・クイーン作品を引用することからも、クイーンに倣って書かれている (もしくはまんまクイーン作品) ことが分かる。ココまで正統派探偵ミステリーというのは、米澤さんの 「犬はどこだ」 を越えた感じがする。
ただそこに自分としては物足りなさを感じていて、もう一押しに欠けるものが多かった気がした。観念的なものを取り扱った作品 (「死刑囚パズル」 「過ぎにし薔薇は……」) なんかは若干無理に捻りすぎている気さえしてしまう。テーマ自体はどれを取っても謎、また謎、という具合に非常に面白い。ただ 「Why」 が弱かったかな。それぞれバラバラの時期に書かれているらしく、完成度もバラバラ。
以下、ネタバレがない程度に内容紹介。
▼死刑囚パズル
死刑執行直前、死刑囚が毒殺されてしまう。死刑場は密室。
いったい犯人はこれから死にいく死刑囚をなぜ殺害しなければいけなかったのか。
▼黒衣の家
姑が絶大な力を持った家で葬儀が行われる。言い争いが絶えなかったこの家で、ある日姑が毒殺されてしまう。殺害動機はインパクトがあって良かった。
▼カニバリズム小論
「人食い」 をテーマに著者がひたすらエグい作品を書いた、という作品。
同棲をしていたカップルの男が彼女を殺害し、彼女の体を食べてしまう。果たしてそれは究極の愛だったのだろうか。それとも・・・。他の作品とは一味違った作風で、一番好きです。ラストでポカンとしてしまうこと必至。
▼切り裂き魔
図書館シリーズ一作目。この辺から倫太郎の人物像に変化が出てきていて面白い (笑)。図書館にある蔵書のうち、ミステリだけを狙って冒頭の数頁が切り裂かれるという被害が多発した。犯人の意図とは。
▼緑の扉は危険
H・G・ウェルズの 「塀についたドア」 に登場する 「異世界へと繋がる緑の扉」 が題材になっている作品。ある文学マニアが自室で首を吊って自殺する。部屋は密室。その部屋には絶対に開かない 「緑の扉」 があった。
作家にも 「手グセ」 みたいなものがあることを知った作品。
▼土曜日の本
女子大生がバイトをしている書店に土曜日になると決まって 「五十円玉二十枚を千円に両替してほしい」 という男が出現する。倫太郎はそれを調査することに。
当時の 「五十円玉二十枚の謎」 という若手作家の競作が元にあるお話し。
▼過ぎにし薔薇は……
穂波の図書館に天小口 (本上部の切り口) だけを見て本を借りていく女性が出没する。彼女は他の図書館でも同様のことを繰り返していた。その理由とは。
***
米澤作品を読んでいるせいか、どうもインパクトに欠ける、印象にもあまり残らない作品が多かった。ただ著者が冒頭で書いているように、一つの寓話たることという点では素晴らしい作品ばかりだった。匂い立つほどのミステリーが読みたい!という読者には間違いなくオススメの作品ですね。途中で登場するクイーンの作品なんかを事前に読んでいたら一層面白かったんだろうな。なむなむ!(「カニバ〜」 は一読の価値あり!)
「切り裂き魔」 〜 「過ぎにし薔薇は……」 の 4 編は 「図書館シリーズ」 と呼ばれるもので、倫太郎が(好意をよせる) 司書の沢田穂波の働く図書館を舞台にミステリーを展開する形式を取っている。冒頭の 「死刑囚パズル」 なんかはテーマ自体が重いものであり、且つ法月氏の死刑に対する文献研究や論述には唸ってしまった。
文中で何度もエラリー・クイーン作品を引用することからも、クイーンに倣って書かれている (もしくはまんまクイーン作品) ことが分かる。ココまで正統派探偵ミステリーというのは、米澤さんの 「犬はどこだ」 を越えた感じがする。
ただそこに自分としては物足りなさを感じていて、もう一押しに欠けるものが多かった気がした。観念的なものを取り扱った作品 (「死刑囚パズル」 「過ぎにし薔薇は……」) なんかは若干無理に捻りすぎている気さえしてしまう。テーマ自体はどれを取っても謎、また謎、という具合に非常に面白い。ただ 「Why」 が弱かったかな。それぞれバラバラの時期に書かれているらしく、完成度もバラバラ。
以下、ネタバレがない程度に内容紹介。
▼死刑囚パズル
死刑執行直前、死刑囚が毒殺されてしまう。死刑場は密室。
いったい犯人はこれから死にいく死刑囚をなぜ殺害しなければいけなかったのか。
▼黒衣の家
姑が絶大な力を持った家で葬儀が行われる。言い争いが絶えなかったこの家で、ある日姑が毒殺されてしまう。殺害動機はインパクトがあって良かった。
▼カニバリズム小論
「人食い」 をテーマに著者がひたすらエグい作品を書いた、という作品。
同棲をしていたカップルの男が彼女を殺害し、彼女の体を食べてしまう。果たしてそれは究極の愛だったのだろうか。それとも・・・。他の作品とは一味違った作風で、一番好きです。ラストでポカンとしてしまうこと必至。
▼切り裂き魔
図書館シリーズ一作目。この辺から倫太郎の人物像に変化が出てきていて面白い (笑)。図書館にある蔵書のうち、ミステリだけを狙って冒頭の数頁が切り裂かれるという被害が多発した。犯人の意図とは。
▼緑の扉は危険
H・G・ウェルズの 「塀についたドア」 に登場する 「異世界へと繋がる緑の扉」 が題材になっている作品。ある文学マニアが自室で首を吊って自殺する。部屋は密室。その部屋には絶対に開かない 「緑の扉」 があった。
作家にも 「手グセ」 みたいなものがあることを知った作品。
▼土曜日の本
女子大生がバイトをしている書店に土曜日になると決まって 「五十円玉二十枚を千円に両替してほしい」 という男が出現する。倫太郎はそれを調査することに。
当時の 「五十円玉二十枚の謎」 という若手作家の競作が元にあるお話し。
▼過ぎにし薔薇は……
穂波の図書館に天小口 (本上部の切り口) だけを見て本を借りていく女性が出没する。彼女は他の図書館でも同様のことを繰り返していた。その理由とは。
米澤作品を読んでいるせいか、どうもインパクトに欠ける、印象にもあまり残らない作品が多かった。ただ著者が冒頭で書いているように、一つの寓話たることという点では素晴らしい作品ばかりだった。匂い立つほどのミステリーが読みたい!という読者には間違いなくオススメの作品ですね。途中で登場するクイーンの作品なんかを事前に読んでいたら一層面白かったんだろうな。なむなむ!(「カニバ〜」 は一読の価値あり!)
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