【ネタバレ】 『重力ピエロ』 伊坂幸太郎・著

2008.11.19 [ Edit ]

重力ピエロ (新潮文庫)重力ピエロ (新潮文庫)
(2006/06)
伊坂 幸太郎

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あらすじ (Amazon.co.jp)
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

哀しくも可笑しい、奇妙な兄弟のお話。

伊坂さんはノンジャンルな作家さんだ。そう再確認できた作品。
今作は 「ミステリ」 に特化しているわけではない。伊坂節をまとった登場人物たちからはそんなもの以上ににじみ出る “何か” を感じた。でもお涙頂戴ものとは違う。

劇中には読者を引き付ける謎が幾つか登場し、結果、それらを伏線として上手く読者をラストへリードしてくれる。この辺は伊坂さんお得意の書き方だ。伏線の回収の仕方にはいつも舌を巻いてしまう。でもこの小説は今までの作品とどこか違う。

それは 「Why?」 の部分ではないでしょうか。

なぜ春はあんなことをしたのか。物語的に言えば、そうせざるを得なかったのか、という部分だ。それはどう足掻こうと逃れられない自分の血であり、レイプによって生を受けたという彼の先天的な不幸と関係する。この部分がよく書けていた気がする。

そして彼と共に生きる家族の描き方。「家族」 というホントに小さな小さな単位がこれほど大きな力を秘めているのか、と感動してしまった読者も多いはず。この前には謎の女や正体などはスパイス程度のものとなってしまう。

登場人物も面白い。伊坂作品に共通する作品間リンクはもちろん健在。黒澤さんがまたしても出てくるとは、今までの作品を読んでいた読者はニヤリとする場面だろう。どうもこのキャラは著者の作品によく登場する。まぁ、嫌いではないです (笑)。

シンプルだけど、家族愛っていいなぁ。

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